お久しぶりです。つい最近脆弱性診断関連の作業で検証用にOracle WebLogic ServerをWindows環境にインストールすることになったのですが、インストールまでは上手くいったもののサーバの起動やSSL(https)化に中々苦戦しました。公式ドキュメントを読み込んだり海外のサイトを参考にしてなんとかなったものの、公式は翻訳が不自然だったり海外のサイトは全部英語だったりであまり読む気が起きない人も多いと思うんですよね。というわけでWeblogic Serverのインストールをどう行ったのか、ナレッジとして残しておきます。SSL化については長くなるので本記事では解説しませんが、別途記事を作成予定ですので詳細はそちらを確認ください。
環境
・Windows 10
・Java 19.0.2
Javaが実行できる環境を用意している前提なので、Javaのインストールを行っていない場合はWeblogicの導入に取り掛かる前にインストールするようにしてください。
Oracle Weblogic Serverのインストール
2023年2月時点では以下のURLからダウンロードすることができます。
https://www.oracle.com/jp/middleware/technologies/weblogic-server-installers-downloads.html
インストーラのダウンロードページに行くといくつか種類がありますので用途に応じたものをインストールしてください。ぱっと見た限りでは特別な事情がない限りはインストールしたいバージョンの汎用インストーラ(Generic)で多分問題ないでしょう。今回は最新版の14cのものをインストールします。

ダウンロードが完了したらzipファイルを解凍します。そうすると「fmw_14.1.1.0.0_wls_lite_generic」といった感じのJarファイルが中に入っているはずなので次のステップではこれを実行することでインストーラを起動し、実際にセットアップ作業に入っていきます。
セットアップウィザードの起動
コマンドプロンプトを管理者権限で開き、先ほど解凍したjarファイルのディレクトリに移動します。
その後以下のようにコマンドを入力してください。jarファイルの名称についてはダウンロードしたバージョンなどによって変わるので適宜読み替えが必要です。
C:\Users\owner\Downloads\fmw_14.1.1.0.0_wls_lite_Disk1_1of1>java -jar fmw_14.1.1.0.0_wls_lite_generic.jar
1.コマンドの実行権限やJavaの環境などに問題なければコマンドを入力してしばらくすると以下のWeblogicのインストーラが起動します。

2.次へを押下すると以下の画面に遷移しますが、初期設定の場合ここで特に何かを入力する必要はないかと思うのでこのまま「次へ」を押下します。

3.Weblogicをインストールするフォルダのディレクトリ及びフォルダ名をここで指定します。

4.続いてインストールタイプの指定画面が出てくるので今回は「Weblogic Server」を選択

5.インストールを行う前に前提条件の確認画面が出てきます。私の場合Javaのバージョンに関して警告が表示されましたが、このままインストールを進めても特段問題はなかったのでスルーします。不安な人は調べてみた方が良いかも。

6.ここまでのインストールサマリーが表示されます。

7.「インストール」を押下するとインストールが始まるので待ちます。

8.インストールが完了すると以下の画面に進みます。画面下部に「構成ウィザードの自動起動」とありますがここにチェックを入れるようにしてください。Weblogicでは管理サーバや管理対象サーバ等の初期設定を行う必要があるのですが、ここにチェックを入れておくとこのまま初期設定に進むことができます。後々管理コンソールからも設定できますが管理コンソールからの設定は初見だと多分わかりづらいと思うのでこの後のウィザード画面から設定することを推奨します。

構成ウィザードの起動
1.構成ウィザードが起動されると最初にドメインの作成画面が表示されるので「新規ドメインの作成」を選択します。ドメインとはなんぞやという疑問があるかもしれませんが「weblogic ドメイン」などでググると公式サイトの解説ページが出てきますので詳細はそちらを確認ください。

2.特に条件がない場合は以下の通り選択します。

3.管理者アカウントを作成。管理コンソールにログインする際必要となるので入力した内容は覚えておくようにしてください。

4.製品テンプレートは「開発モード」を使用。

5.管理サーバの設定を行います。SSL(https)を使用する場合「SSLの有効化」にチェックを入れてください。

6.ノードマネージャタイプはデフォルトの物を選択し、ノードマネージャの資格情報を入力。

7.デフォルトで管理対象サーバが入力されているので以下の設定してそのまま「次へ」を押下。

8.マシンのリスニングアドレスとリスニングポートを指定します。恐らく大丈夫かと思いますがリスニングポートは他のアプリケーションと重複しないように注意してください。

9.前の画面で作成したマシンに以下のように紐付けを行います。

10.サマリー画面。ここまで想定通り設定されているか確認します。

11.前の画面で「作成」を押下するとセットアップが行われます。

12.これでWeblogicの初期設定は完了です。管理サーバURLは管理コンソールにアクセスする際必要になるのでメモなりスクショしておくことを推奨します、

管理コンソールにアクセス
では初期設定が完了したのでWeblogicの管理コンソールにアクセスしてみましょう。管理コンソールとはWeblogicサーバの設定や起動などをグラフィカルな画面から行える機能です。アクセス方法は構成ウィザードの最後の画面で出てきた「管理サーバーURL」のURLをブラウザに入力することでアクセスできるはずなのですが、何故かhttpsの方は初期設定を完了した直後だとアクセスできないようなので以下の通りhttpのURLにアクセスしてください。別記事でWeblogicのhttps化に伴う既知の不具合だと思われる事象の対応を解説予定ですが、そちらの対応をすることでhttpsの管理コンソールにもアクセスできるようになることを確認しています。
https://desktop-jkn9fdk:7002/console/login/LoginForm.jsp //アクセスできない
http://desktop-jkn9fdk:7001/console/login/LoginForm.jsp //アクセスできる
アクセスに成功すると以下の画面が表示されます。ユーザーID/パスワードはステップ3の3で入力した管理者アカウントの情報を使用します。もし管理コンソールが表示されない人はこの後の5番のステップを確認のうえ、サービスが稼働しているか確認してください。なおシャットダウンしたりした場合Weblogicサービスは終了してしまいますので、都度再起動するか自動起動の設定が必要です。

無事ログインできることを確認できました。

せっかくですので構成ウィザードでの設定が正しく反映されているか確認してみましょう。確認手順は以下の通りです。
[手順]
トップページ>左側ペインの「環境」>「サーバー」

構成ウィザードで設定した「new_ManagedServer_1」が表示され、「マシン」の列に「new_Machine_1」が紐付けされてることが確認できますね。
Weblogic管理コンソールの起動・停止方法
Weblogicサービスの起動方法
以下のコマンドを入力してポート7001で受付しているか確認してみてください。※ステップ3の5番でAdminServerのリスニングポートを変更している場合は指定したポートが空いてるかを確認します。
[MS-DOSコマンド]
netstat -an -p TCP
[Powershell]
Get-NetTCPConnection
もし指定したポートで接続の受付を行っていない場合、以下のbinフォルダに移動すると「startWebLogic」のバッチファイルがあるのでこれを管理者権限で実行します。Oracleフォルダについてはステップ2の3番で指定したパスに作成されています。私はCドライブ直下に作成したので以下のようになっています。
C:\Oracle\Middleware\Oracle_Home\user_projects\domains\base_domain\bin
startWeblogicのプログラムファイルを実行することで管理コンソールサービスが立ち上がりアクセスできるようになるはずです。
Weblogicサービスの停止方法
起動時と同様以下のディレクトリに移動します。「stopWebLogic」というWindowsコマンドファイルがあるのでこれを実行することでサービスを停止することができます。
//インストール時のディレクトリに応じて適宜読み替え
C:\Oracle\Middleware\Oracle_Home\user_projects\domains\base_domain\bin